そもそもこの「固有の領土」という表現は、政府の公式見解だ。内閣府のサイトには以下のように記されている。
北方四島は、歴史的にみても、一度も外国の領土になったことがない我が国固有の領土であり、また、国際的諸取決めからみても、我が国に帰属すべき領土であることは疑う余地もありません。北方領土問題とは、先の大戦後、70年以上が経過した今も、なお、ロシアの不法占拠の下に置かれている我が国固有の領土である北方四島の返還を一日も早く実現するという、まさに国家の主権にかかわる重大な課題です。
また、返還を求める「国際法上の根拠」にも同様の文章が記載されている。
連合国は、第二次大戦の処理方針として領土不拡大の原則を度々宣言しており、ポツダム宣言にもこの原則は引き継がれている。この原則に照らすならば、我が国固有の領土である北方領土の放棄を求められる筋合いはなく、またそのような法的効果を持つ国際的取決めも存在しない。サン・フランシスコ平和条約で我が国は、千島列島に対する領土権を放棄しているが、我が国固有の領土である北方領土はこの千島列島には含まれていない。このことについては、樺太千島交換条約の用語例があるばかりでなく、米国政府も公式に明らかにしている(1956年9月7日付け対日覚書)。
前者の「不法占拠」という言葉もともに、封印されている。
ロシアは、北方領土が「第二次世界大戦でロシア領になった」という認識を示していることもあり、平和条約交渉が本格化しているなかで「言葉選び」に慎重になっている可能性がある。
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