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人生がときめく「選択と集中」:日経ビジネス電子版 - 日本経済新聞

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 本日(とはつまり「原稿を書いている当日」という意味で、記事の公開日から遡れば「昨日」に当たる)2月7日は「北方領土の日」なのだそうだ。

 この日を「北方領土の日」に定めたことについて、内閣府のホームページ
《2月7日は「北方領土の日」です。1855年のこの日に、日魯通好条約が調印されたことにちなみ、北方領土返還要求運動の全国的な盛り上がりを図るために設定されました。毎年、「北方領土返還要求全国大会」が、東京で開催されるほか、この日を中心として全国各地で講演会やパネル展、返還実現のための署名活動などさまざまな取組が行われています。》

 と説明している。

 該当ページのリンクをたどって行くと、1981年1月6日に閣議了解した「『北方領土の日』について」と題するPDF文書に行き当たる。

 その閣議了解の中の「『北方領土の日』設定の理由書」の冒頭では
「我が国の固有の領土である歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方四島は、戦後35年を経過した今日、なおソ連の不当な占拠下にある。」

 と、北方四島を「わが国固有の領土」とする政府の公式見解が述べられている。

 なるほど。

 もしかすると、このリンク先のPDF文書は、いずれ、遠くない将来、消去されることになるかもしれない。

 私は自分のハードディスクに保管した。

 こうしておけば、少なくとも2019年2月7日の時点で、1981年1月6日の閣議了解書が内閣府のホームページ上に掲載されていた事実を、記録として確定しておくことができる。

 私たちは、行政機関が作成・保管している文書や統計が、いつ、どんな形で失われ、あるいは改竄されるのかわからない不確かな時代の中で暮らしている。いま見ている文書にしたところで、それが永遠に見たとおりの形でその場所にあるのかどうかは、保証の限りではない。

 とすれば、いま起こっている出来事を正確な歴史資料として後世に残すために、われわれは、自分が制作に関わった文書や閲覧した統計資料を、個人の責任において、できる限り網羅的に保管する覚悟を持たなければならない。

 聞けば「ときめかないブツや記録はすみやかに廃棄するべきだ」とするわが国発の身辺整理哲学が全米で大人気を博しているのだそうだが、私の立場は違う。ときめきや胸の高鳴りを一切もたらさない、どうにも不快で重苦しい記録や物品をこそ、むしろ、われわれは心して保管せねばならない。でないと、自分たちがいま直面し、経験している現実や事件は、近未来の愚かな人々の恣意によって歪められ、あるいは消去されることになる。そういう歴史改竄を許してはならない。

 北方四島は、この先5年か10年のうちに、そもそも存在していなかったことにされるのかもしれない。

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